スポーツ・関節鏡班に所属する関健です。夏にオリンピック活動報告を行いましたが、ひとまわりしてあっという間にスポーツ班の順番が回ってきました。東京医科大学スポーツ班の活動を多くの方々に知っていただける機会なのでうれしい限りです! これまでは病院外のスポーツドクターとしての活動を紹介することが多かったですが、今回は病院での治療について紹介をしていきたいと思います。

大学病院ではクリニックや近隣病院で行っていない専門治療を行っているため、手術治療を目的として患者様をご紹介いただく機会が多々あります。しかし、手術治療はスポーツ活動が制限される期間も長くなってしまい、アスリートにとっては避けられるのであれば避けるべき治療法であり、最後の治療選択肢の位置づけです。だからといって、ただただ安静にしていることも筋力の低下につながってしまいます。そのため、多くのスポーツ疾患の治療では近年でも新たな保存的治療についての研究が積極的にされています。

その中で今回は体外衝撃波治療をご紹介します。この体外衝撃波治療はもともと泌尿器科領域で尿路結石の破砕術に用いられている治療法です。整形外科領域では衝撃波のエネルギー量を少なくすることで、➀照射部の骨癒合を促進させる効果、②痛みを感じる神経を変性させたり、疼痛伝達物質の伝わりを抑えることで痛みを軽減する効果、③血管新生を誘導し組織の修復を促す効果が確認されています。2012年以降、6か月以上の保存治療で改善が得られない「難治性足底筋膜炎」でのみ保険適応が通り、少しずつ広がっている治療です。保険適応ではありませんが、その他に上腕骨外側上顆炎や膝蓋腱炎、アキレス腱付着部炎といった腱付着部炎、疲労骨折など多くの疾患で効果が確認されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

これが体外衝撃波治療機です。

足底筋膜炎では足の裏の痛みがある部位へ機械を当て、15~20分かけて数千発の体外衝撃波を組織へ当て、我慢できる範囲内で痛みに応じて出力を上げていきます。痛みの軽減効果は施行後早期に得ることができますし、治療後の安静は必要ありません。靭帯の付着部炎でよく行われる注射治療と比べても注射部位の感染などの合併症リスクはありません。アスリートでは運動強度が高く症状のコントロールに悩む方が多く、重要な試合前の早期の症状改善など様々な形で役に立っています。

スポーツを行っている方も行っていない方も今回紹介した疾患で症状のコントロールに悩んでおられましたら是非受診をご検討ください。